【宜野湾市】“ココがすごいぞ! シマで生きる道具展 ” にあわせて ワークショップが開催されています。“植物でつくってみよう” 宜野湾市立博物館
2025年7月19日(土)から宜野湾市立博物館で開催されている「ココがすごいぞ!シマで生きる道具展」の関連講座「作る、使う、直すこと」が8月10日(日)にありました。講師は名護博物館初代館長であり、黙々100年塾蔓草庵の創始者、島袋正敏(しまぶくろ せいびん)さん。正敏さんは、生まれ育った名護市で、ものづくりを通してご自身が子供の頃から経験していた事を追体験できる場づくりをされています。
講演は、ご自身の経験や体験を次世代に残してゆくには、というところから始まりました。まず正敏さんの解説で宜野湾市立博物館の常設展を巡ります。再現された茅葺きの民家や昔の道具などが展示されています。
実際にその時代を経験している方のお話は興味深く、参加者は熱心に耳を傾けていました。「自分たちで使うものは自分たちで作る。それは豊かなことです。でも、これまで2000年かけて発展してきた道具などが、現代は50年のスピードで変化している。“便利”は想像力や感性を育む機会を失わせる。」と懸念を示しました。
そして「手仕事をなぜ続けているのか理由がある。自給自足は生き方の問いかけ。いかに時間をかけるか=生きる上で大切なことです。」と正敏さんは続けます。
「お金を払って得た道具は、受け取るだけで生産の現場と繋がっていない。そこで追体験ができる場、博物館や学校などの役割が大切だ」とおっしゃっていました。沖縄では年中行事が沢山あり、必然的に家族や地域の繋がりが強固でした。時代の流れで行事の簡素化が提唱され、地域の伝統や文化を伝承する機会も失われつつあることにも触れていました。「皆で関わる事に意味があるんです。それが地域の文化になる。今よりちょっと難儀しましょう!」と正敏さんはお話を締めくくりました。

マーニ編みとクバのうちわ
今回の企画の共催、「島で生きるチカラ調査隊」は、島袋正敏さんの昔からの生活の知恵、生きるチカラを追体動画という手段で残しています。
※動画をご覧になりたい方はYouTubeチャンネルをご確認ください。
博物館では「シマで生きる道具展」に合わせて「植物でつくってみよう!」も開催されています。「島で生きるチカラ調査隊」の皆さんと参加者が一緒になって、身近な植物を使って道具を作ります。9月は13日(土)、21日(日)、27日(土)に開催予定。前もって受付が必要なので、参加を希望される方はチラシのお電話番号へ問い合わせを。

ソテツの虫かご
筆者は月桃の縄ないに挑戦! 沖縄でおなじみの植物ですが、ムーチーやお茶、虫よけ以外にも利用できるとは、新たな発見です。

月桃
月桃の茎を剥いで、余分な繊維を取り除き、
クシをつかって割いてゆきます。
一週間ほど乾燥させてから縄をなってゆきますが、今回は時間の都合上、乾燥されたものを使います。
手も足も使って。慣れない作業ですが、今日初めて会った参加者とも会話が弾みます。「どうやるの?」「上手にできたね!」
筆者が1時間ほどかけてできた長さは30センチ程。
このバッグ↓を作るにはどれだけの労力と時間がかかるのか、気が遠くなります。
が、手間がかかる分愛着も沸いて大切に使えそう。壊れたら修理できるのも魅力です。
今の生活から、“便利”を完全に手放すことは無理かもしれませんが、ワークショップや動画で追体験することで、道具の成り立ちや意味、生活の知恵、そして時間をかけて皆で取り組む過程でわいわいおしゃべりする時間は、「生きるチカラ」へ繋がっているのを感じました。
夏の企画展「ココがすごいぞ!シマで生きる道具展」
共催:島で生きるチカラ調査隊・島袋正敏(黙々100年塾蔓草庵 創始者)
期間:7月19日(土)から9月28日(日)まで
時間:9時から17時まで(入館は16時半まで)
休館日:毎週火曜日・祝日
宜野湾市立博物館はこちら↓